「在日コリアンとして力をつけて」/ちゃんへん.さん講演会
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12月1日、ちゃんへん.さんのジャグリング&講演会が東京朝鮮文化会館で行われ、東京中高の生徒と教職員が観覧した。
最初にジャグリングショーが行われた。
アップテンポな曲に合わせ、水晶やヨーヨー、ステッキなどを自由自在に操るパフォーマンスに、生徒たちは身を乗り出して見入っていた。
また、ちゃんへん.さんの軽快なトークも相まって会場は盛り上がり、生徒たちは自然と手拍子を送っていた。
ちゃんへん.さんが得意とするのはディアボロ。世界大会で10連覇しているという大技や、ちゃんへん.さんオリジナルの技、世界でも挑戦している人が2人しかいないという難易度の高い技など、「大会同様にフルパワー」でパフォーマンスが披露された。
続いて行われた講演会では、京都の朝鮮人部落・ウトロで生まれ育ったちゃんへん.さんの生い立ち、日本学校でいじめを乗り越えた経験、パフォーマーを目指した時に立ちはだかった国籍の問題、その時に触れた1世のハルモニの祖国分断への悲しみと悔しさなど、その半生が語られた。(今年8月に行ったインタビュー)
力強く語るちゃんへん.さんの話に生徒たちは聞き入り、みな真剣なまなざしを舞台に送っていた。
講演後には、自身の人生で感じてきたことを綴ったラップ「根無し草」など、2曲が披露された。
最後にちゃんへん.さんは、「我々が思うほど、日本社会は在日コリアンについて知らない。そして、時代が進めば、何事も良くなると思っていたが、SNSでの誹謗中傷やヘイトスピーチなどを見ると、果たして良くなっているのだろうか」と社会の現状にふれ、「個々人が自分の武器を磨いて、在日コリアンとして力をつけてほしい」とエールを送った。
イベントは、東京朝鮮中高級学校連合同窓会が企画したもの。
同窓会の洪竜守会長は、「情勢や環境にブレない芯を持って生きていってほしい」と話し、イベントを締めくくった。
高級部3年生の姜奈来さんは、「朝鮮学校で育った私たちも悩むことがあるのに、日本学校でのいじめ体験など、朝鮮人として生きることの難しさを感じた。朝鮮学校を出たから朝鮮人なのではなく、日本学校、日本社会でも名前や歴史を守っていく意志が大切だと思った」と感想をのべた。
同じく高級部3年生の李隆輝さんは、「朝鮮人であることをマイナスには思っていなくても、病院で名前を呼ばれるときや自身が通う塾で『日本語話せるの?』と聞かれるなど、日常でモヤモヤすることはある。それでも自分は、堂々と朝鮮人として生きていこうと改めて思った」と話した。(蘭)