在日朝鮮学生美術展のweb企画展開催中
広告
日本全国各地の朝鮮学校の児童・生徒たちが制作した美術作品を展示する「在日朝鮮学生美術展」(以下、学美)が毎年好評だが、2020年度は学美史上初めての試みとしてウェブ上で開催されている。
学美はこれまで50年間、日本各地を巡回しながら開催されてきたが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行という未曽有の事態に直面した今年は中止を余儀なくされた。学美実行委員会は、コロナ禍においても子どもたちの作品の発表の場を設けるため、ウェブ上で特別企画展の開催を決めた。
今回、開催されているのは「2020在日朝鮮学生美術展WEB展覧会」「全国美術部テーマ別WEB展覧会」「全国美術部10号巡回展」という3つの企画。
「2020在日朝鮮学生美術展WEB展覧会」は、各地の朝鮮学校教員らが中心となって審査してきた従来の学美の方式ではなく、審査なしで作品をウェブ上で公開する(2月上旬公開予定)。
全国美術部テーマ別WEB展覧会は、毎年かかさず行われていた作品発表の場(学美)と合同合宿がCOVID-19の影響で中止になってしまった各地の朝鮮学校の美術部が「発表の場は自分たちで作る!」とばかりに独自に企画したweb展覧会。各学校の美術部の部員たち(約80人)がテーマごとにグループにわかれ、オンライン上で交流・協議をしながら作品を発信している。テーマは「自由」「依存」「パラダイムシフト」「武器」「差別」「ウィルス」「中身」「私だけの世界」の8つ。昨年12月12日から公開中だ(今年3月まで)。
「全国美術部10号巡回展」は、作品の実物を多くの人びとに見てもらうため、各学校の美術部部員たちがキャンバスのF10号(53×45.5㎝)以内に規格統一した作品を制作し、集めて全国巡回展示を行うというもの(昨年10月21日~今年3月まで)。作品の人気投票を行い、結果も発表する予定。
今回、学美実行委員会では作品の送料、展示会場費、ウェブページの制作費などの必要経費をまかなうため、クラウドファンディングを実施。76万9000円が集まった(クラウドファンディングは1月18日で終了)。
百聞は一見に如かず。以下のURLから特別企画展にアクセスしてほしい。
「作品から響きわたる子どもたちの伸びやかでしなやかな鼓動は、今日を生きる私たちにしたたかな力をあたえてくれるでしょう。子どもたち一人一人の心が紡ぎだす感性豊かな作品世界に、より多くの方々が触れられることを願い、ご案内申し上げます」(2020在日朝鮮学生美術展特別企画展特設ページに掲載された「ごあいさつ」より引用)
https://www.gakubi1972.com/2020gakubi/
イオでは今年から「中高生の心象風景」というタイトルで、朝鮮学校中・高級部の美術部の生徒たちの作品を、今回の学美企画展の責任者でもある東京朝鮮中高級学校美術教師の崔誠圭さん(同校美術部顧問)の解説とともに連載している。こちらのほうもぜひ読んでいただきたい。