自分をメモする
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コロナの影響もあり取材の機会がぐんと減った。必要以上の外出もしていないため、日刊イオに書けるような新しい話題が見つからない。ネタはないか…とスマホのメモアプリを開いたところ、過去の自分がメモした言葉がぽつぽつと残っていた。何気なく目を通すと展開できる内容や突っ込みどころが多々あったのでここで紹介したい。
逆プロポーズ
指摘されて気づく
よく使われている言葉、無検討に使う
これは編集部で原稿チェックをもらっている時に受けた指摘のことだ。取材先で聞いた、「女性の方から男性に何度も結婚を申し込んだ」という話を、特に深く考えることもなく「逆プロポーズ」と書いた。しかし、「“逆”ってなんだろう?」と言われハッとした。
そういう場合をあらわす際、なんとなくよく使われているよな、くらいの認識で、無検討に言葉を当てはめていた。考えてみれば、別に誰がプロポーズしようと「逆」をつける必要はない。日常で目にしたり耳にする言葉は自然と頭に植えつけられ、安易に選び取られる言葉になってしまう。本当に適切なのかきちんと疑い、常に自分の言葉を使わなければいけないな、と思った出来事だった。ので、メモしておいた。
料理を始めた方が選択肢が広がった
これは不意にわいた実感をメモしておいたものだ。料理をするようになってから、食べたいものがあれば「とりあえず作ってみよう」という考えになった。3年前くらいまでは一切料理をせず、その日その日で中華を食べたりお菓子で空腹を満たしたりインドカレー屋さんに通いつめたりして自由に食を満喫していると思っていたが、「今の方がよっぽど自由だな!」と気づいたのである。そして健康的だ。
青銀共創
新型コロナウイルスの世界的大流行のさなか、台湾国内にあるマスクの数をリアルタイムで知ることができるマップの開発に貢献し一躍有名となった、若きIT大臣オードリー・タン氏。かのじょのインタビューを読んでいる時に見つけた言葉だ。素晴らしかったのでメモした。以下、インタビューより一部を抜粋。
…台湾では「青銀共創」という試みが盛んです。若者(青)と高齢者(銀)がお互いに学び合って、共同でイノベーションを起こそうというわけです。高齢者は若者からデジタル社会とどう接したらいいかを学び、若者は高齢者から知恵や経験を学びます。互いにわからないことがあるからこそ、そこにイノベーションが起こるのです。若者とシルバー世代には、それぞれ異なった角度からの見方があります。…
津村記久子さんの作品は、呪いを再生産しない人の話
好きな作家さんの小説について、感じたことをメモしておいた。津村さんの作品はとても不思議で、大きな事件が起こるわけでもなく淡々と日常が繰り返されていく系の物語が多いが、なぜか読み止めるのが惜しくなってしまう。淡々とした文章ながら、“地”の部分にユニークさが漂っていて声を出して笑ってしまう時もある。
ただ、決して面白いだけの小説ではない。津村さん自身、新卒で入社した会社で上司からパワーハラスメントを受けて退職した過去を持っており、小説でも多くの人が他者から理不尽な精神攻撃を受けていたりする。でも小説の登場人物たちは最後に相手を見返す機会が目の前まで訪れてもあえてそれをせず、さっとその場を去る。その清々しさのことをメモしておいたのだと思う。
想定力と想像力
料理は想定、経験があるから
子どもの想像力は経験ないもの
これは、買物に行く道の途中でふと浮かんだ言葉だ。料理をするようになってからの気づきは本当に多く、自分は先々を想定して動くことが本当に苦手なんだな、というのも料理を通して自覚させられた。目の前のことしか考えておらず、何かを焼き始めてから急いでガチャガチャと調味料の棚をあさり、物を落とす、なんてことはよくあることだった。
でも回数を重ねると少しは考えるようになるもので、それは想定力が身についたのではないかと考えたのだ。一方、そこから連想的に出てきた想像力という言葉について考えてみると、まずは子どもが浮かんだ。子どもの想像力は自由だというイメージがあるからだ。そうして、「あれ、子どもの想像って、経験してないことが多いんじゃない?」と思った。このあたりでお会計が近づいてきて考えが中断しそうだったので、一応これもメモしておいた。
行動で作った問題は、言葉でごまかすことはできない
これはネットのどこかで見た言葉。あまりにも自分に刺さる言葉だったので咄嗟にこの一文だけメモしておいて出処を記すのを忘れてしまった。
タコがより高く上がるのは風に乗っている時ではなく向かい風に立ち向かっている時だ
チャーチル
笑った。この時は名言に浸りたいモードだったのだろうか。そんな勇ましい気分の時だったのだろうか。
疑問
テレビの再放送は宣伝のため?プログラム不足を埋めるため?
…それを知ってどうだというのだろう。なぜこれが気になったのか、もう覚えていない。
総合的に見ると「人付き合いが苦手な方」に分類される
これは自分のことだ。メモしておかなくても特に忘れることはないのだが、はっきりと書き記しておきたくなったのだろうか。その時どんな気持ちだったかは覚えていない。
乗り過ごした人たちのためにあるような感じの駅
どこかの駅に寄った際にこう感じたのか、もしくはそんな駅がほしいという願望を記したものなのか…思い出せない。
おばあちゃんになったら柴犬を飼って陽だまりの中を一緒に散歩したい
自宅の近所にはペットを飼っている家庭が多く、散歩や買物の時などよく目にする。すごくかわいい柴犬を見たのと、いい天気だったので短絡的にこう感じたのだろう。
自分の知らない世界や価値観に、手っ取り早く感覚的に触れられるツールの一つにアートがあると思う
これは東京朝鮮中高級学校美術部展に行った帰りに書いたメモだ。書いてある通りのことを感じた。
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振り返ってみると、メモした時の気持ちがすんなり思い出せるものもあれば、どういう動機でわざわざそんなことをメモしたのか分からないものもあった。でも、そういうとりとめのないものは、それこそメモしておかないとすぐに忘れ去ってしまうだろう。過去の自分からのちょっとしたメッセージのようで面白い。これからもちょくちょく、その時の自分をメモしていこうと思う。(理)
行動で作った問題は、言葉でごまかすことはできない
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これは7つの習慣にある言葉ですね
P255及びP275に出てきます
ご紹介まで
匿名さま
わざわざコメントで教えて下さりありがとうございます!そうなのですね💡さっそく本屋などでその箇所を探してみます。(理)