「永住者」と「在留カード」
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ある日、クレジットカード会社から封筒が届いた。
在留カードのコピーを送ってくれとの旨だった。
記載されている内容をそのまま下記に転載する。
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【重要】在留カードご提出のお願い
当社では、マネー・ローンダリング防止及びテロ資金供与対策の一環として、日本国籍をお持ちでないお客さまについて、在留資格・在留期間(満了日)等を確認させていただいております。対象となるお客さまにおかれましては、所定の方法により、在留資格・在留期間(満了日)等が確認できる在留カードのご提出をお願い致します。
※口座開設または海外送金サービス契約時、在留カード、旧外国人登録証明書等をご提示いただいたお客さまが対象となります。また、特別永住者証明書をお持ちのお客さまにおかれましては、在留カードに代えて特別永住者証明書のご提出をお願い致します。
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日本国籍ではないという理由で、永住者や特別永住者にもこのような書類を提出させる日本の現状に辟易した。
私は、「特別永住者」ではなく、「永住者」だ。
なぜそうなったかというと、私の両親はどちらとも母方が日本人で母方の籍にはいっていたので、産まれてからは日本国籍だった。
十代のころ朝鮮籍に変えたからだという。
母は16歳で、父は18歳で朝鮮籍に変え、それからは「定住者」となり、3年に一度に最寄りの入管へ行き更新の手続きをし続けた。
やっと「永住者」許可となったのは、そこから27年後のことだったそうだ。
父は永住許可が下りた当時、入管の職員に「おめでとうございます」と言われたそうだ。
3年に一度の更新は、「本当に面倒だったよ!」と母が怒り交じりに語ってくれた。
今回このことをきっかけに、改めて両親から「永住者」となった経緯を聞き、日本国籍から変えただけで、こんなにも管理強化されていたということに驚いた。
そして、子である私も「永住者」だ。
16歳から外国人登録証明書を持ち歩いていたのだが、
2012年7月9日より新在留管理制度が施行され、在留カードとなった。
(※特別永住者は特別永住証明書というカードに変更)
特別永住証明書の切り替えは、最寄りの市区町村役所で更新できるそうだが、永住者は在留カードなので、期限を更新するためには、入管まで赴かなければならない。
私は来年に更新期限を迎えるので、電車とバスを乗り継いで、東京品川の入管に行かなくてはいけない。
先日、社でとある書類を書かなければならず、私だけ確認や記載されるものが多かった。
気になって、「もしかして会社内で私だけが『永住者』ですか?」と聞いたところ、その通りだった。
在日朝鮮人のなかでは「永住者」という在留資格は、珍しいのだと改めて思った。
それでも、この日本には「永住者」証明の外国人の方たちがたくさんいるだろう。
税金を毎年おさめ、穏やかに日々を暮らしていても、日本国籍ではないというだけで、管理強化され続けているひとびとにも思いをはせた出来事だった。(愛)