政党アンケートの結果を見ながら
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衆議院選挙が10月19日、公示された(投開票は31日)。
今回の選挙に際して、さまざまな分野の社会的イシューや国政テーマについて各党の姿勢を聞くアンケート調査がメディアや市民団体などの手によって行われている。NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)は、与野党9政党に対して「移民政策に関する政党アンケート2021」を実施した。アンケートの結果は18日付で移住連のウェブサイトに公表された。https://migrants.jp/news/voice/20211017.html
アンケートは9月7日から30日にかけて実施された。調査対象は、自由民主党、公明党、立憲民主党、国民民主党、社会民主党、日本共産党、日本維新の会、れいわ新選組、沖縄社会大衆党の9党で、項目は以下の12項目。
- 入管施設への収容は必要最低限にし、全件収容主義は廃止すべきである。
- 非正規滞在者などへの在留特別許可については、子どもの最善の利益や家族の結合権など国際人権基準に基づいて判断すべきである。
- 在留カードの常時携帯義務と提示義務、特別永住者証明書の提示義務を廃止すべきである。
- 生活保護が適用される外国人の範囲を拡大すべきである。
- 在留資格や住民登録の有無にかかわらず、健康保険の加入を認めるべきである。
- 外国人技能実習制度は廃止すべきである。
- 入管法から独立した難民保護法を制定すべきである。
- 永住・定住外国人の地方参政権を認めるべきである。
- 人種差別を禁止する法律を制定すべきである
- 移民基本法を制定すべきである。
- 移住労働者権利条約を批准すべきである
- パリ原則に基づく国内人権機関を設置すべきである。
自民党は12項目中5項目について「反対」、その他7項目はすべて「どちらとも言えない」。立憲民主党は12項目中7項目について「賛成」、他はすべて「どちらとも言えもない」。国民民主党、日本維新の会は12項目中ほとんどの項目について「どちらとも言えもない」。社民党、共産党、沖縄社会大衆党は12項目すべての項目について「賛成」、れいわ新選組も12項目中10項目について「賛成」という結果となっている。公明党はすべての項目に無回答だった。
移住連は、アンケート結果の分析に基づいて、移民の人権保障に対する各党の傾向性について以下のように記している。
自民は消極的もしくはあいまいな姿勢/立憲民主は比較的積極的な考え/国民民主、日本維新はあいまいな姿勢/社民、共産、沖縄、れいわは積極的な考え
アンケート全12項目の回答は移住連の公式サイトで見ることができる。アンケート項目には入管の長期収容問題や外国人技能実習制度、人種差別禁止法の制定など在日外国人の人権をめぐって現在焦眉の問題となっているテーマが多数含まれている。回答にはこれらの問題についての各党の姿勢の一端があらわれている。。
アンケート結果を興味深く読んだ。アンケートで取り上げられた問題の当事者は、筆者を含め選挙を通じて意思表示できない人びとであるのでなおさら関心が高いのかもしれない(もちろん、政治参加、意思表示の手段は投票に限るものではないということは大前提として)。
この国に住む人間の一人として国政選挙に対する関心は大いにあるが、どこかさめた目で見つめている。当事者であるが当事者ではない。選挙のたびに繰り広げられるお祭り騒ぎを見ながら、さまざまな感情が胸に去来する。(相)