九州出張記㊤:福岡はあったかとこたい
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3月30日~4月5日の初の九州出張で、福岡を訪れた。
何度かこのブログで書いてきたことだが、父が福岡出身のため、毎年正月は福岡で過ごしてきた。そのせいか、中級部ごろまで、福岡は寒い地域だと思っていたし、九州が日本の南の島だと知った今でも、「九州=寒い」という印象がぬぐいきれていなかった。
今回の出張では、親戚が「金平団地」の一室をまるまる貸してくれたが、その部屋にはWi-Fiがなかったため、作業は近場のカフェや、団地の事務所で行った。
「ケーキ買って来たから食べり」と、アジメ(叔母さん)が差し入れまで用意してくれ、カフェにはバスや電車でも行けるのに、車で送ってくれ、何不自由なく、福岡出張を終えることができた。
ある日、午前中は事務所で作業をし、午後は息抜きがてら福岡市内にある大濠公園に行ってみた。
カフェでコンセントを使用するため、ガラス張りのカウンター席に座ったが、白鳥ボートのペダルを競輪選手なみに漕ぐ人を見つけてしまい、気が散る。そして、目の前のテラス席からゴールデンレトリバーがこっちを見ていて、視線を感じる。他の犬を見つけ、キャンキャン吠える犬、怯える犬、そのようすを悟りを開いたような渋い顔で見つめる犬…犬も十匹十色だなぁ…などとあれこれ観察してしまい、作業には不向きだった。
日差しはポカポカ。花が咲いている福岡は初めてだ。
水辺、花、柳、ベンチの組み合わせはなんとも映えるなぁ。
水辺×植物の名画を多く生み出してきた、モネの気持ちがわかるようなわからないような。
と、天候が温かかったのはもちろんだが、それだけではない。
関西や東北に行き、方言を耳にすると、「異郷に来た感」をしっかり感じるが、福岡弁は心地がよく、安心する。パブロフの犬さながら、福岡弁を聞くと、脳内がお正月モードになってしまう。
そして、父がコテコテの部落―金平団地の出身ということもあり、とにかく会う人みながわが一家をよく知っていることが、さらに「異郷感」をなくした。
女性同盟のある顧問は、私が挨拶をして通り過ぎると、後ろから追いかけてきて、「やっぱり(父に)似とるなぁ!」と明るく声をかけてくれた。
今回、取材したある夫婦は、父の同級生で、正月に会った方たちだ。断られることが多いこの連載(笑)。しかし、親戚を通して取材を打診したところ、数日間考えた末、「同級生の娘の依頼なら出らないけんやん」と取材を受けてくれ、取材後には「飯も食わさんで帰したら、アボジにくらされるわ!笑」と、美味しい料理をたらふく食べさせてくれた。(※ご夫婦は、5月号「こうして出会いました」に掲載されています)
ありがたいことに、どの地域に出張に行っても、同胞たちは温かく迎えてくれる。
福岡は、自分が行き慣れていたということ、同胞たちが一家をよく知っていることも相まって、いっそう温かみを感じ、居心地がよかった。
今回の出張を、祖父母には報告していない。万が一、「ご飯食べてけ、泊ってけ」となると、布団の準備などが大変かなという孫としての気遣いだが、記事を見て、「なんで何も言わんかったとか!」と怒られないか少しヒヤヒヤしている。(蘭)