怒りの叫び、無視されても—2013年から続く「金曜行動」
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「日本政府は朝鮮学校に高校無償化制度を即時適用せよ!」—
“全ての意志ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため”(教育の機会均等への寄与)との目的で始まった高校無償化制度。しかし2010年に朝鮮学校が制度から除外されたことを受け、日本各地では権利獲得のためのさまざまな運動が展開されてきた。
2013年には朝鮮大学校の学生たちが文部科学省前での抗議「金曜行動」を開始。日本市民や朝鮮学校保護者、朝高生、南の同胞たちなど、さまざまな人たちが参加しながら場をつないできた。文科省前では今も毎週、怒りの声が届けられている。
6月17日には、東京朝鮮中高級学校の高級部2年生たちが訪れ、日本政府による変わらぬ差別政策を糾弾した。朝鮮大学生ほか、朝鮮学校の保護者、日本市民たちも駆けつけ、約200人が集まった。
同校教員のキム・スンホさんは、2010年当時に高1だったこと、先輩たちが卒業式の前日まで街頭宣伝や署名活動で制度適用を訴えたが叶わず「問題が解決されないまま卒業するのが申し訳ない」と言い残していく姿を見るのが心苦しかったこと、自身も権利獲得のために奔走したが、結局先輩たちと同じ言葉を後輩たちにかけねばならなかった辛さを吐露した。
「朝鮮大学校へ進学すると、2010年当時の高3たちが発起してこの『金曜行動』を始めた。先輩たちを突き動かしていたのはやはり、“後輩のため”という思いだった」(キムさん)。
しかし、問題が解決することはなかった。「なによりも2010年当時、小学校にも入学していなかったこの生徒たちと、今日このようにこの場に立っていることが悲しく、やるせなく、そして申し訳ない」。
キムさんは、日本政府や社会は多文化共生や国際社会を謳っているが、70年以上前からずっと隣にいる在日朝鮮人に目を向けてほしいと訴えた。
高級部2年の生徒はこの期間、高校無償化問題をはじめとする在日朝鮮人の権利を取り巻く現状について学習を深めてきたとしながら、自分たちにとって朝鮮学校が、民族心や民族の仲間の大切さを教えてくれるかけがえのない場所であることを改めて実感したと伝えた。
その上で、「2013年に私たちの先輩から始まった『金曜行動』、あなたたちは今日に至るまで怒りの叫びを無視し続けてきた。それでも先輩や日本の方々は、闘いの火を消してはならないと毎週この場に来て叫び続けた。先輩たちの思いを胸に、後輩たちが差別を受けることなく学校で学べる未来のために、これからも変わらず私はこの場に立ち叫び続ける」と声を上げた。
東京中高の高級部2年生たちが「金曜行動」に参加したのはこの日が初めて。高校無償化制度からの朝鮮学校除外の不当性について学習を通してのみ認識してきた。ある生徒は、「これまで映像でしか見たことがなかったが、今日この場に来て、問題の当事者になったんだと強く感じた」と話した。
この日はまた、「金曜行動」に先立って日本の市民団体による文科省への要請も行われていた。東京中高高2の代表生徒らもここに同席し、学ぶ権利の保障を求めた。(理)