自然はやさしい?
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月刊イオ8月号の特集は、『初夏のさんぽ』(仮題)。日本各地のイオ編集部おすすめの散歩コースを紹介する企画だ。
「自然あふれる癒やしのスポット」「都会のオアシス」―。水と緑が豊かな場所を訪れるとついつい書きたくなる定番のフレーズが打ち込まれたノートパソコンの画面を見ながら、「でも『自然』って、言うほどいいものじゃないよね」と深夜に独りごちてみる。
先日、等々力渓谷(東京都世田谷区)へ行った際は、この季節は蚊が多いと聞いていたので、蚊対策として虫よけスプレーと長袖の上着とくるぶしまで隠れるフルレングスのパンツで完全防備のスタイルだった。
虫よけスプレーをこまめに塗ったので、虫さされの被害は、あまりの暑さに上着を脱いだ際、腕に2ヵ所のみと最小限で済んだ。
普段の生活の中では虫よけスプレーを使う習慣がない。そもそも、虫よけスプレーの効果については半信半疑だったが、渓谷内を4時間ほど歩き回ってほとんど被害を受けなかったので、効果は絶大ということが証明された。
梅雨明け前から恐ろしいほどの猛暑が続いている。ときに命にかかわるほどの。外を歩き回る仕事の際は熱中症対策として水分とともに塩分タブレットを持ち歩くようにしている。
小さなところでは蚊や虫、毒を持った野草や動物、猛暑に寒波、さらに台風や地震、津波にいたるまで―。むき出しの自然は人間に牙をむく。全然やさしくない(等々力渓谷は暑さの面では人間にやさしかったが)。
一方で、自然は人間をはじめとする生命に恵みを与えてくれる。自然の猛威から身を守ることは必要だが、自然を破壊してしまうのは本末転倒だろう。(相)