家族全員新型コロナウイルスに感染した話
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8月13日から17日の夏休み期間に私、妻、もうすぐ3歳になる息子の家族3人全員が新型コロナウイルスに感染した(正確には、医療機関におけるPCR検査および抗原検査で陽性の結果が出た)。
感染第7波が猛威を振るう中、遅かれ早かれいつかは家族のうちの誰かが感染するだろうと覚悟していたが、まさか一家全員感染という最悪の事態になろうとは。
以下、「一家全滅」に至るまでの一部始終を、教訓を残す意味でも書き記しておきたい。
1
発端は8月13日。
朝8時起床。
前夜、息子を寝かしつけながら寝落ちしてしまった。今日から5連休という高揚感と、息子を寝かしつけた後の貴重な自由時間を無駄にしてしまった悔しさがないまぜとなった夏休み初日の朝。
私の足元、ひどい寝相で寝ている息子を定位置に戻してあげようと体を持ち上げた。
「熱っ!」
触れた瞬間、異変に気づいた。体が熱い。少なくとも38度以上はあるか―。
体温計を息子の脇にさす。
「ピピピピ…」
おそるおそる液晶画面を見る。
39.3
何かの間違いであってくれ。そう思いながら、もう一方の脇に体温計をさした。
「ピピピピ…」
39.0
少し時間をおいて、祈るような思いでみたび計測。
39.5
Oh, No!
心の中で叫んだ。
翌日から1泊2日で家族旅行の予定だった。子どもは熱が出やすい。少々の発熱ならすぐに下がることも多い。38度前後ならしばらく様子を見るところだが、39度オーバーは尋常ではない。しかも、世はコロナ禍の真っ只中。決行はリスクが高い。楽しみにしていた家族旅行。前日キャンセルは経済的にも痛手だが、仕方ない。断腸の思いでキャンセルの電話を入れた。
そのあと、かかりつけの病院に診察の予約を入れた。しかし、運悪くこの日は台風で大荒れの天気。先月、高熱を出した息子を病院へ連れて行った時の苦い記憶がよみがえる―。待合室は超満員で病院の外にも人があふれ、予約した時間から2時間遅れで診察開始。その間、炎天下の屋外で待つ羽目になった。この雨風の中、高熱の息子を連れて外で長時間待つことになったらどうする…。
とりあえず、手持ちの解熱剤で熱を下げつつ、自宅で様子を見ようという結論に達した。診察の予約はキャンセルした。
結局、その日は熱が思うように下がらず、ひやひやしたが、翌日には平熱に下がった。その間、咳、鼻水などの症状はなく、食欲も戻ってきた。一日で体調が回復したことに安心しきっていた。これまでなら、発熱したら、その後、下がっても病院に連れていっていたが、今回に限っては「まあ、行かなくても大丈夫だろう」と思ってしまった。
その後、16日になって息子の体に発疹があらわれた。もしかして、13日の発熱と関係があるのか―。症状としてはそれほど深刻には見えなかったが、翌日から保育園に登園予定で、園では手足口病も流行っていたので、念のため病院で診てもらおうと診察の予約を入れた。
2
「お父さん、〇〇(息子の名前)くん、陽性でしたよ」
夏休みも残り2日となった16日。息子のかかりつけ病院の隔離病室で看護師さんから告げられた新型コロナウイルス陽性判定。
えっ…
予想だにしていなかった宣告だった。
そもそも新型コロナウイルス感染症が疑われる症状で診察を受けたのではなく、発疹を診てもらうのが目的だった。13日の発熱は一日でおさまったこともあり、息子のコロナ陽性の可能性が頭の中からすっかり抜け落ちてしまっていた。これまでも何度か高熱を出して、そのたびに病院でコロナの抗原検査を受けたが、すべて陰性だった。今回も風邪だろうとたかをくくっていた。
それは大きな間違いだった。13日の39度オーバーの発熱は新型コロナウイルス感染症によるものだったのだ。
危うく息子のコロナ感染を見逃すところだった。もし発疹が出ていなかったら、病院に行って抗原検査を受けることもなかっただろう。「熱は出たが、すぐに下がって元気になった」と安心して、翌17日から保育園に送っていたはずだ。自分が感染しているとは知らない息子は園内でウイルスをまき散らし、感染を広げていたかもしれない。そう考えるとぞっとした。背筋が寒くなった。
3
保育園での感染拡大は防いだが、家庭内感染は広がってしまった。息子が発症したとみられる13日から3日後の16日、妻の身にも発熱、倦怠感、咳、鼻水、のどの痛みなどの症状があらわれた。息子のかかりつけ病院ですぐさま妻と私もPCR検査の予約を入れた。検査は翌17日。その前に妻が手持ちの抗原検査キットで検査してみたところ、案の定、陽性反応が出た。
私は、というと、PCR検査を受けた17日の時点でも特段の症状は出ていない、いわゆる「無症状」だった。妻の陽性はほぼ確定だとして、私はどうなる。ご飯を食べさせて、お風呂に入れて、おむつを換え、着替えさせ、隣で寝て―と濃厚接触どころではない、感染防止対策などもせず息子と完全密着して過ごしていた。コロナの症状が出ている妻も同じ空間にいた。これで感染しないということがありえるのだろうか。息子の陽性判定を受けて、手遅れだとは思いつつ、家の中でもマスクを装着するなどできる限りの感染防止対策を講じた。その時点で症状は出ていなかったが、普通に考えたら無症状の陽性だろう。陰性なら奇跡だな。ああ、2022年の夏休みは結局、自宅と病院、近所のスーパーマーケットの往復で終わってしまったなぁ…。そんなことを思いながら、検査結果が出るのを待った。
18日午前11時。病院から検査結果を伝える電話があった。妻は予想通り陽性。そして、私も陽性だった。
まあ、そうなるよな―。覚悟はしていたので、陽性の宣告にも驚きはなかった。
4
先月のブログで、「家族の中で誰か感染するのも時間の問題かもしれない」と記した。それが現実のものとなった。「一家全滅」という結果は予想していなかったが。
一家3人、あと1週間ほど自宅療養が続く。仕事の面では、私も妻も在宅ワーク対応可なので、その点ではよかった。今後の体調の変化によっては、療養期間が延びる可能性もある。息子は鼻水が少々出ているくらいで、いたって元気だが、自宅での巣ごもり生活が長引くにつれてストレスがたまってきているようだ。妻は、熱は下がってきたが、咳、鼻水、のどの痛み、倦怠感などの症状はまだ続いている。「ピークは越えた」と言っているが、はたから見る限りではつらそうだ。そして私は、家族の中で唯一の無症状。このまま療養期間を乗り切りたい。神に祈るような心情だ。
一家全員感染を受けてのとりあえずの教訓と感想。
①発熱その他、コロナが疑われる症状が出たら、かならず病院で検査を受けること(今さら言うまでもないことだが)
②家族の中で誰か感染したら、家庭内感染拡大、一家全滅は不可避(とくに学齢前の子どもがいる家庭では)
③これまで、報道等で「無症状」といわれてもピンとこなかった。少しは新型コロナウイルス感染症っぽい症状が出るだろう、まったくないなんてありえるのか―そう思っていたが、実際に自分がかかってみてわかった。本当に普段の状態と変わらないのだ。私は運よくというか家族の感染を機に検査をして陽性が判明したが、そんな機会でもなければ自分が陽性だとは気づくのは難しい。大量の無症状陽性者によって市中感染が広がるわけだと納得した
次回のエントリでは自宅療養期間のあれやこれやについて書いてみたい。(相)