「私たちの『表現の不自由展・その後』」、名古屋で28日まで
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「私たちの『表現の不自由展・その後』」が、市民ギャラリー栄(名古屋市中区)で昨日から開催されている。
もともと、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展として始まった「表現の不自由展・その後」。しかし、視察に訪れた河村たかし名古屋市長が、平和の少女像を指して「日本国民の心を踏みにじる」と批判、企画展の中止を要請したことで、それに呼応する抗議や脅迫が殺到した。
その翌日、大村秀章愛知県知事と企画展の津田大介芸術監督が「表現の不自由展・その後」の中止を決定。この中止に抗議する市民有志たちによって、「『表現の不自由展・その後』の再開をもとめる愛知県民の会」が結成された(同年11月に「『表現の不自由展・その後』をつなげる愛知の会」として再結成)。
同会は昨年、「あいちトリエンナーレ2019」当時、反対勢力から激しい攻撃を受けた作品を中心に「私たちの表現の不自由展・その後」を開催するも、会場に破裂物が届くなどの妨害とそれに伴う名古屋市側の会場閉鎖によって二度目の中止を強いられた。
その際に失われた4日間を取り戻すため、今回再びの開催を迎えた運びだ。
会場には、各地で物議をかもしたり展示を拒否された5組の作家による作品が約60点展示されているほか、先の「表現の不自由展・その後」を巡っての新聞報道の切り抜き、過去に検閲を受けてきた数々の作品をまとめた年表、「『表現の不自由展・その後』をつなげる愛知の会」の活動履歴も掲示されている。
興味深かったのは、別の展示室で行われていた「表現の不自由体験」コーナー。
「一人ひとりに表現の自由がない国って、どれほど息苦しいんだろう」。表現の場を奪われた作家たちの気持ちを少しでも実感してほしいと、実行委員の一人が発案したものだ。
誰でも飛び入り参加可能。司会がいろいろな質問や話題を提供し、参加者はそれに答えながら、お互いの意見で気になる点があれば討論を交わす。しかしその際、前に貼られている禁止用語と禁止仕草にふれないように話さなければならない。
「我慢することが苦痛なもの(ごく自然に出てしまうもの)を考えました」
日常で“不自由”を感じたことがありますか?という質問に、「特にない」と答える人、「そんなことはない」と反論する人。考え、気づき、時にリアルタイムで不自由も感じる、とても刺激的な空間だった。
「私たちの『表現の不自由展・その後』」は28日(日)まで開催している。近くにお住まいの方はぜひ足を運んでみては。事前予約制のためご注意を。
●WEB予約(https://teket.jp/4029/14298)、電話(090-5801-4683)
また、今回の展示に関するクラウドファンディングも引き続き行われている。日本社会に根深く存在する排外主義や植民地支配責任・戦争責任について、多くの人に考えてもらいたいとの思いからだ。ページでは、これまでの会の活動も知ることができる。(理)
●クラウドファンディング→https://camp-fire.jp/projects/view/607351