入管法改悪案に抗議つづく
広告
昨年廃案も再提出のおそれ
2021年に国会に提出され、一度は廃案になった入管法改悪案。同法案は現行法では何度もできる難民申請を、3回以上申請する場合は原則送還停止を認めないなど、外国人のさらなる人権侵害につながるものだった。
しかし21年3月にスリランカ人のウィシュマさん(享年33)が名古屋入管で死亡したことを受け、市民社会から反対の声が上がり、同法案は5月には廃案に追い込まれた。
しかしあろうことか、日本政府は今年に入り再提出の姿勢を示している(9月9日、法務大臣記者会見)。
これを受け10月6日、東京・永田町の参議院議員会館で、院内集会「入管法は今が岐路 排除をやめて共生へ」が行われ、20人の衆参両国会議員を含む150人の参加のもと(170人はライブ配信)、入管法改悪を進めようとする日本政府の姿勢に警鐘が鳴らされた。
集会では、「入管法政府案の課題とあるべき姿~入管法政府案はウクライナ難民を救えるのか~」と題して児玉晃一弁護士が発言。続いて、仮放免者(入管収容が一次的に解かれた送還忌避者)や家族の苦しみが伝えられた。
集会では、「入管法政府案の課題とあるべき姿~入管法政府案はウクライナ難民を救えるのか~」と題して児玉晃一弁護士が発言。続いて、仮放免者(入管収容が一次的に解かれた送還忌避者)とその家族の苦しみが伝えられた。
今仮放免中で難民申請をしているピーターさんは、「私はいつも死を考えています。働きたくても働けない。食べるものがなく、お腹が空けば水を飲むしかない。体調が悪くても医療保険に入れないので、病院にも行けない。犯罪歴もないのに、難民申請者はいらないという理由で強制退去させられそうになり、成田空港で入国警備官から暴行を受け、死にそうになった」と苦しみを吐露した。
来日14年になるクルド人の夫が4回目の難民申請をし、在留資格を得られないまま仮放免の延長をしているというまゆみさんは、「夫は数ヵ月で結婚3年になろうとする17年11月、仮放免の許可が不許可となり突然収容された。罪を犯したわけではない。友人と一緒に入管の違反審査部門に申し入れたが、『要らない外国人は帰ってもらいたい』と言われた。出口の見えない収容や送還を見直してほしい」と訴えた。
また、ウィシュマさん死亡事件の国賠訴訟に取り組む駒井知会弁護士は、「国際人権法を遵守していればウィシュマさんは生きていた。ご遺族と弁護団の闘いは続いている。かのじょたちを裏切らない日本でありたい」と衰弱していくウィシュマさんの筆致を伝えながら入管への怒りを伝えていた。主催団体の「STOP!長期収容 市民ネットワーク」は今後も抗議を続けていく。
●入管法改悪●
日本政府は2021年2月19日に出入国管理法の「改正案」を閣議決定。改悪点は3つ。
①難民申請すると回数や理由を問わず送還されなくなる規定(送還停止効)に例外を設け、3回目以降の申請で新たな相当理由がない場合などには適用しない、
②逃亡の恐れが低い人を対象に施設外で生活できるようにする「監理措置」が導入され、親族や支援団体などが「監理人」となり、生活状況の届出などの義務を負う、
③退去命令に従わない場合の刑事罰を新設(1年以下の懲役・禁錮もしくは20万円以下の罰金)。
参考:「STOP!長期収容 市民ネットワーク」www.openthegateforall.org/p/top.html