2022年の振り返りと2023年
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2022年、個人的に掲げたテーマは「選択と集中」だった。
目の前の仕事にがむしゃらに取り組んだ20代を経て、30代からは社内外、対内外からいろいろな仕事を依頼してもらえるようになった。身の丈に合わない重責もオープンマインドで受け止め、四苦八苦しながらこなす過程を何度も繰り返して、いろんな部分の「筋力」が鍛えられたと思う。
40代を目前に次のステップとして、2022年はさまざまな仕事の中でも特に力を入れるべきことを「選択」し、そこにできる限り「集中」して努めたいと考えた。
選択した二つの課題の内、一つは自分自身の成長に関するもので、もう一つは自分以外のためのもの。この二つが犠牲にならないようにほかのことを調整する、ということを意識した1年だった。
一つ目の「選択」は記者として原点に立ち戻ること。
コロナ禍以来、それまで担当していた平壌特派員としての活動が途絶えるなど、さまざまな理由で取材機会が激減した。机上で記事を書くことが増え、「記者としてこれでいいのか」と自問自答を繰り返していた。これを打開するために、2022年はしっかり取材をして記事を書くという記者としての原点を重視した。量産できなくても、良質な記事を確実に出していく、ということを掲げた。
この課題に基づいて、朝鮮半島を相対化して情勢を読み解く新連載を朝鮮新報で開始(タイトルカットは(麗)さんが製作してくれた。お気に入りである)し、7.4共同声明発表50年や朝・日平壌宣言発表20年の節目で関係者や識者を取材し、地方取材にも度々赴いた。
二つ目の「選択」については具体的な言及は避けるが、掲げた目標が一朝一夕では成らないことを改めて痛感し、今年も継続して取り組んでいきたいと思っている。
振り返れば2022年、弊社にとっては同僚の他界や社屋の移転などさまざまな受難を一丸となって乗り越えた1年だった。一方、個人的には7月に姪が、12月に甥が生まれ、家族にとっては喜ばしい1年だった。
2022年の朝鮮半島情勢は、北側を「主敵」とみなす尹錫悦政権が発足し、特に夏以降、米日南の執拗な軍事挑発によりいつなんどき偶発的な衝突が起こりかねない、まさに2017年の情勢を彷彿とさせるような危機がつくられた。そうした中で朝鮮は核武力政策の法制化や「核には核で、正面対決には正面対決で」という立場を明らかにした。
朝鮮半島の緊張状態は2023年にも続くと思われる。糸口の見えない米中対立やロシア・ウクライナ紛争を踏まえても、米国の朝鮮半島政策に変化は見込めず、今年も「強対強」の局面が続くものと見られる。
朝鮮では2022年最後の6日間に党中央の重要会議が開かれ、2023年を「転換の年、変革の年」にすると宣言した。朝鮮半島情勢や北南関係を踏まえて、自衛的国防力強化に拍車をかける重大な決断が下され、対南・対外関係においては「強対強、全面勝負」の原則が再確認された。大晦日に行われた超大型ロケット砲の贈呈式と元日の検収射撃がその確固たる意志を示していると思う。
緊張の高まる朝鮮半島情勢、急減速する世界経済の下で日本経済の先行きも不透明な中、同胞たちにとって有益な情報を一つでも多く届けるため、今年も日々精進していきたい。
そして2023年、しばらくの間イオ編集部で活動することになった。イオ編集部には2011年から2015年までの4年間在籍した。その後、朝鮮新報政治部に異動、朝鮮問題を専門として記事を書いてきた。イオでの記者活動は約8年ぶり。期間限定の短期ではあるが、初心に返って謙虚に取り組むと同時に、私なりに誌面づくりと編集部に貢献できたらと思っている。
日刊イオも担当して更新します。読者の皆さま、どうぞよろしくお願いします。(淑)