朝鮮学校のデジタル教科書と本場の歌
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先日(淑)さんがブログで書いていた姪っ子の1年生になる直前のお話を見て、わが子が朝鮮学校に入る直前のことを思い出した。
朝鮮学校に入学する前には、2度ほど現地の朝鮮学校へ行く機会がある。
わが子が体験入学に訪れた時、慣れない場所、知らない人々に囲まれた息子はとても不機嫌になり、青商会からの制服プレゼントの際にはついに前に出ることはなく、私たち親が制服を受け取り、体験授業の時は教室から逃げ出した。
自分が子どもの時には、「逃げ出す」という選択肢を考えたこともなかったので、親としては子が「問題児」になるのではないかと、とても不安になりながら入学をさせたものだ。
新1年生になっても慣れない勉強などでよく教室を逃げ出してたそうだが、学校全体が広い目で見守ってくれて友達もたくさんできて今では学校生活を大いに楽しんでいる。
ある日、「オンマ、ナ(僕)の好きな歌きいて!」と学校で使っているタブレットを持ってきた。
朝鮮語の授業で習ったという朝鮮の歌、「설눈아 내려라」(初雪よ 降れ)という歌だった。
前奏が約3分もあり、最初はスローリーな雰囲気のあるメロディー、続いてアップテンポなメロディーに変わり歌が始まる。
全体を通して聴いていて自然と体が踊りだしてしまうような歌だった。
その前後に習った授業のものも見せてもらったのだが、「설날」(お正月)という科目で朝鮮半島に古くから伝わる童謡「까치 까치 설날은 어저께고요 우리 우리 설날은 오늘이래요…」(カササギ カササギのお正月は昨日だといいます。私たち 私たちのお正月は今日です…)という歌も習っていた。
昨日(1月22日)は、まさに旧正月だったので、タイミングよくみることができ、子どもと一緒にこの歌も歌ってみた。
デジタル教科書でこうして本場朝鮮半島の歌を耳にできることに、感動した。
耳で本場朝鮮語の発音を聞き、「良い」と感じる心も育てることができる。
そして思ったこと。
過去に日本でヒットしたという、とある在日コリアンのドキュメンタリーなどで、過去の朝鮮学校の描写が出ることがあるが、過去の印象で今の朝鮮学校を語らないでほしいと切に思った。朝鮮学校の教科書は2003年に大幅に改定された。
その後、2010年代からはデジタル教科書も登場し、初級部(小学校)高学年からはタブレットを各自1個ずつ持ちながら勉強する。
過去の情報だけをもって朝鮮学校を語らず、いまの朝鮮学校を偏見無く見てほしいと思った。
朝鮮学校を卒業した私だが、子どもたちがいま日々習っていることを見ては驚き、楽しそうな様子を見て朝鮮学校に入学させて本当に良かったと思う。日本で生まれ育ちながらも、朝鮮半島のモノがいいと思える心を育てることができる朝鮮学校は、唯一無二の場所だと思う。(愛)