芽吹きだした “ウリ”―
広告
“学校がない地域のコッポンオリ(花のつぼみ=子ども)たちにもウリハッキョを!”
昨年8月に予定されていたがコロナ禍で延期になった「青商会学園」が、去る3月26日から茨城朝鮮初中高級学校(水戸市)にて3泊4日の日程で行われている。
青商会学園とは、朝鮮学校がない県に暮らしているため普段は“ウリ”(自分のルーツにつながる文化や歴史に加えて、同じ朝鮮人である人々の輪、つながり)に触れることが難しい子どもたちを朝鮮学校へ招待し、民族に連なるさまざまな学びや体験、出会いを用意するプロジェクトだ。在日本朝鮮青年商工会が主催した。
私は現地へ行っていないが、初日の26日のみスタッフとして応援に行った夫から話を聞いて、まるでその場に居合わせたかのような高揚感を味わった。
参加者は約50人。日本各地さまざまな場所から集まった子どもたちは、まだ集合時にもかかわらず「これで1日もつのかなってくらいテンションが高かった」という。まずその情景が浮かび顔がほころぶ。
その後、開会式やウリマル教室に参加する子どもたちを撮影した写真を見せてもらうと、真剣な様子で話を聞いている子、カメラに向かってにっこり笑顔を向ける子、おちゃらけた子…さまざまな表情が次々とあらわれて心が和んだ(夫はこの1日で400枚以上写真を撮ったらしい)。
個人的に感動したのは、ウリノレ(朝鮮語の歌)をうたう子どもたちを収めた動画だ。子どもたちが、講師のピアノに合わせて《우리 엄마 기쁘게 한번 웃으면》をうたっている。
何度か練習した後なのだろう。あどけない声ですらすらとウリノレが流れていく。朝鮮学校の児童がうたっているのではと思うほど自然で、少し驚いた。同時に、その周辺で子どもたちを見守っている大人たちの、一様にうれしそうな表情が目に入ってじーんとした。
今回の青商会学園には、青商会のスタッフはもちろん、茨城初中高の教員や朝鮮大学校教員、学生、特別講師など、たくさんの大人たちが携わっている。また、朝鮮新報社からも記者が数人取材へ行っている。
これまでほとんど“ウリ”に触れてこなかった子どもたちが、たくさんの養分を吸収して一気に芽を出していく―そんな姿を目の前で見ることができるなんて、ここに居合わせた人はとても貴重で幸せな経験をしているなと純粋に思った。
そして子どもたち。きっと閉会後、それぞれの家に帰って日々を過ごす中で、しみじみと今回の出会いを思い返すのではないだろうか。出た芽を継続して育てていけるようなイベントがこれからも持たれるよう応援したい。
青商会学園の様子は、在日本朝鮮青年商工会のFacebookページとInstagramで随時更新されている。気になる方はぜひ登録&チェックを。(理)