朝鮮学校のこどもたちへの補助金復活を求めて/東京都内で学習会
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2021年3月、東京都議会で「東京こども基本条例」が全会一致で可決、成立した。この条例の前文には「全てのこどもたちが取り残されることなく」「こどもの権利条約の精神にのっとり」、こどもに対するあらゆる差別を禁止した政策を推進していくことは「様々な人が共に暮らす、多様性に富んだ国際都市東京の使命である」と書かれている。
しかし東京都はほかの外国人学校に対しては補助金を交付しながら、朝鮮学校に対しては2010年から今に至るまで交付をしていない。
この問題について考えようという趣旨のもと、「東京都こども基本条例から学ぶ学習会 朝鮮学校のこどもたちへ補助金復活を求めて」が4月26日、スペースたんぽぽ(東京都千代田区)で行われ、在日同胞、朝鮮学校関係者、都議会議員、日本人市民、そして補助金問題の当事者である東京朝鮮中高級学校の生徒と保護者が参加した(主催=千代田・文京地域学習会実行委員会)
学習会の前半で、この問題についての経過報告と講演が行われた。
報告を担当した都議会勉強会実行委員会の猪俣京子さんは「私たちはこれを子どもたちの人権の問題だと思っている。この条例が生きた条例になるのか死んでしまう条例になるのかが今問われている。都民でもある朝鮮学校の子どもたちと保護者を『都民の理解が得られない』という理屈で排除し続けるのは許されない」と話した。
講演を行った井の頭法律事務所の松原拓郎弁護士は、「子どもたちにとっての最善の利益が何なのかを考えるべきだ。日本で生まれ、育ってきた朝鮮学校の子どもたちに対して今東京都ができることは補助金給付の凍結ではない。各自治体がすべてのこどもたちにきちんと支援をしていくということが求められていると思う。日本、そして東京都が子どもの権利条約にしたがった政策をとらなくてはいけない」と主張した。
後半では福手ゆうこ都議会議員(日本共産党)、上村和子国立市議会議員、東京朝鮮第2初級学校の金斗植校長、そして東京朝鮮中高級学校の生徒と保護者がそれぞれ発言した。
最後に参加者全員はこれからもこの問題の解決のために活動を続け、運動を拡大していくことが大事だという点で見解の一致を見た。
以下、学習会参加者の発言のうち、いくつかを紹介する。
東京朝鮮中高級学校生徒の保護者 権貞恩さん(52)
「一緒に活動してくださる日本の方々の情熱に感銘を受けた。さまざまな活動に協力してくれることに対して感謝しかない。この問題の当事者は私たちなので、これからも同胞たちが中心になって声を上げたい」
東京中高高級部1年 金珉芯さん(15)
「私や私の同級生たちは、今まで日本の方々と接する機会がなかった。今日の学習会を通して、私たちを支援してくれる日本の人たちがいることに気づいた。後輩たちの未来のために、そして今私たちを取り巻くこの環境を変えていくために頑張っていきたい」
司会 秋山真也さん(46)
「都内では朝鮮学校を支援するいろいろな団体ができている。運動立ち上げの前段階として、朝鮮学校差別反対に賛同してくれる日本人を1人でも多く集めていくことが率先して取り組むべき課題だと思う。朝鮮学校を各地域で宣伝し、理解ある日本人を増やし、運動の土台を作っていきたい」
(国)