ひと文字の大切さ
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日本のドラマをあまり見なくなって久しいが、いま必ず録画して観ているドラマがある。
『それってパクリじゃないですか』というドラマだ。
紹介文には「ポジティブなお人好し新米社員と妥協ゼロのエリート上司が、とある飲料メーカーを舞台に繰り広げる知的財産エンタメドラマ」となっている。
知的財産とは、物としての財産ではなく、「知的創造活動によって生み出された財産的価値を有する情報」。
知的財産権とは、「著作物や発明、商標などといった無体物について、その創出者に対して与えられる、民法上の所有権に類似した独占権である」とされている。
著作権や特許などといった、身の回りにはあるけれど実際の生活ではわかりにくい知的財産についてかみ砕いてドラマに盛り込んでいて、なかなか勉強にもなる。
先日、ドラマのなかで印象に残るセリフのやり取りがあった。
A:あなたは前におっしゃいましたよね?(中略)知財部もできる限り協力をすると。
B:その言葉、少し違いますね。確かに私は協力するとは言いました。ただし、できる限りとは言ってません。できうる限りと言ったんです。
C:それって同じ意味じゃ…
B:違います。できる限りというのは、その目的達成のために最大限努力するという意味です。しかし、できうる限りというのはできる可能性があるのならばやるという意味が含まれます。したがって努力にも限界があり、状況によっては協力できないかもしれないというニュアンスが込められているんです。なので何も矛盾はしていません。
このやり取りがヒントにもなり、「特許は言葉による陣取り合戦」という手段で主人公が解決の糸口を見つけだすといったオチになっていた。
「できる限り」と「できうる限り」。ひと文字違うだけで意味が異なってくる。
雑誌編集にも通じるところがあり、面白く視聴した。
わたしたちイオ編集部も特集タイトルなどを決定するときは、全員で意見を出し合い話し合うのだが、特集の意図に沿ってより良いタイトルをつけようとする際、同じようなやり取りをするときがある。言葉の意味をちゃんと理解してこそ、特集の意図に沿ったものを付けられるからだ。
6月号の特集タイトル「在日三代のものがたり」も「物語」にするか「物語り」にするかで意味が若干変わってくるのでどうするかで10分くらい協議した。
結果、編集長のどちらともとれる平仮名でいこうという意見でまとまって特集タイトルが決定した。
改めて、ひと文字の大切さを認識させられる出来事だった。
上記のドラマではその回ごとに扱う知的財産も異なり、本当に勉強になる。子どもも一緒に視聴しているのだが、自然と我が子もドラマで得た知識を身につけていて勉強になっているようだ。
いくつになっても、知らないことを知ることができるのは面白い。私も最終回まで視聴しようと思っている。(愛)