中国が宇宙船「神舟16号」打ち上げ成功
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中国が5月30日午前、3人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船「神舟16号」を搭載したロケットを西武・酒泉衛生発射センターから打ち上げ、その10分後に予定とおり軌道に乗せることに成功した。これは今後宇宙ステーション天宮とドッキングする予定だ。習近平国家主席は「宇宙強国」を掲げ、宇宙開発に力を入れているという。日米露欧が共同運用する国際宇宙ステーションISSに次ぐ独自ステーションを運用することで宇宙開発での影響力を拡大する狙いがある。
中国当局によると「中国の宇宙ステーションは応用と発展の段階に入った」という。中国は遡ること2022年11月に「神舟15号」を打ち上げた。その時政府は「ステーション建設の完了や運用の開始に立ち会うことになる」と声明を出している。そして今回の打ち上げを成功させたことで前回よりも一歩進んだと思われる。
5月10日には有人宇宙ステーションに物資を運ぶ無人補給船「天舟6号」も打ち上げている。この補給船には258点の貨物が積まれ、重量は約700キロにもなる。結果的に貨物宇宙船の積載能力が7トンを突破した。
反面、中国の宇宙強国のライバルとも言えるアメリカでは2022年9月にブルーオリジンが貨物輸送無人ロケットを発射したが墜落している。ブルーオリジンはアメリカのアマゾン・ドット・コムの創業者であるジェフ・ベゾスが2000年に立ち上げた航空宇宙企業だ。ブルーオリジンでもロケットを動力とした垂直離着陸ロケット(VTVL)を弾道飛行と軌道周回飛行を目的とした幅広い技術を開発中である。
2023年4月にはイーロン・マスクが創設したスペースXが宇宙船「スターシップ」を打ち上げた。専門家たちはスターシップの打ち上げが失敗で終わったのに対して前向きに受け止めているという。
アメリカは2022年に月や火星などの活動に関する法的拘束力のない一連の原則「アルテミス合意」を起草。中国とロシアはこれに反対している。特に問題なのが月面での安全区域設定だという。中国はこの設定を国際法違反と見なしている。そして米国の法律がNASAに対して中国との交流を禁じるようにしているのが、中国がISSとは別で独自の宇宙開発に乗り出したきっかけだという。
中国は今後アメリカに対抗し、2030年までに有人月面着陸を目指すとされている。(国)