入管法改悪と難民たち
広告
国内外から問題点が指摘され、2年前の国会で廃案となった出入国管理及び難民認定法の改定案が5月に衆議院を通過した。
この原稿を書いている段階では参議院での審議が行われている最中だ。審議では日本維新の会の梅村みずほ議員が入管施設で死亡したスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんについて「支援者が『病気になれば仮釈放してもらえる』と期待させた」などと発言、支援者についても攻撃し大きな問題となった。
改定案の一番の問題は、3回目以降の難民申請の場合は申請中でも強制送還を可能にするなど、外国人の人権を認めず外国人の生殺与奪を入管がさらに握ることになることだ。
国会審議に合わせて東京や大阪などで抗議する集会やデモが行われ、「改定案は廃案一択」「外国人の人権を守れ」と訴えた。この問題、月刊イオでも積極的に取り上げている。
私は2011年末から難民たちの取材を続け、月刊イオの誌面で4回にわたり連載記事を執筆した。
日本には難民するために来日したりいろいろな理由で正式な滞在資格を持たずに暮らす外国人がたくさん住んでいる。それらの人々は入管の収容施設に拘束される場合が多いが、仮放免とは、収容所での拘束を一時的に解かれる制度であり、拘束を解かれた人たちを仮放免者という。
取材の過程で多くの仮放免者や支援者の話を聞いた。また、2010年に結成された仮放免者の会の総会も取材、支援者とともに収容されている人たちの面会、デモや支援活動にも参加した。
短くない記者生活の中でも入管と難民の問題を取材し活動したことは何よりも忘れられない。
入管法改定案がどうなるのか。ますます崩壊していく日本社会がその崩壊から踏みとどまれるのかどうかを占う大きな問題だと思う。(k)