「トルパプロジェクト」に注目を
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7月も今日で終わりだ。
残り1ヶ月を数えると、9月1日――いよいよ私たちは関東大震災100年の節目を迎える。
編集部内でも、この日をどのように迎えるか、どのような誌面を作るべきか議論を重ねている。
歴史を記録すること。今につなげること。未来を見出すこと。それらは決して一つだけではいけないし、どれか一つが欠けても成り立たない。
あくまでもそこにある事実をもとに、考えて考えてさらにまた考える日々だ。
そのような中、今日のブログで案内したいのは、歴史を継承しようという人びと、とりわけ若者たち―在日本朝鮮留学生同盟をはじめとする在日コリアン学生と日本の大学生らによる取り組みだ。
朝鮮人虐殺の歴史を記憶し朝鮮人差別に反対する朝日大学生一大行動「トルパ(突破)プロジェクト」。朝・日大学生たちがともに行動し、現在の歴史わい曲や歴史否定論、朝鮮人差別がはびこる状況を「突破」すべくはじめられた。
(以下趣旨文引用)
”100年経った今でもこの虐殺の真相は政府によって調査されることはなく、2017年には小池百合子東京都知事が関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文送付を拒否し、虐殺の事実を認めない姿勢を示すなど官民両方から「虐殺否定論」が唱えられ真相は隠ぺいされつづけてきました。
同時に日本の植民地主義と朝鮮人差別は今なお続いていると考えます。
高校「無償化」制度からの朝鮮学校生徒除外や補助金の削減、朝鮮大学校学生への緊急学生支援給付金不支など直接的な朝鮮学校差別・弾圧が行われています。
また在日朝鮮人に対するヘイトスピーチは蔓延しヘイトクライムまで起こる中、朝鮮人が朝鮮人と言えない社会が作られています。”
プロジェクトは、6月末から11月まで、関東のみならず、近畿や東海など各地の学生たちの手によって、学習会やフィールドワーク、展示会、交流会などさまざまな形式で行われている。京都、大阪、兵庫の学生たちは10月から「近畿連続行動」として、3回にわたってシンポジウムや特別講演会を行う予定だという。100年前に起きた関東大震災朝鮮人虐殺を、日本各地で今を生きるすべての在日朝鮮人の問題と真摯に捉えることは、言うは易し、実際に行動に移すまでの努力はいかほどだろうと想像してみる。実に頭が上がらない。
8月21日には、朝日大学生一大行動として、各地の学生たちが一堂に会し、新宿東口からパレードを行うほか、朝・日学生によるディスカッション、証言朗読や大学生声明の発表などからなる集会が行われる。(参加申し込みはコチラ)
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趣旨文にもある通り、虐殺100年を迎えた今の状況、在日朝鮮人を取り巻く日本社会の現状は何一つ、楽観できるものではない。しかし、次代の社会を担う若者たちが、歴史を直視し、自分事として受け止め、明るい未来を求め力強く歩んでいるのもまた、事実だ。(鳳)