放射能汚染水の海洋放出は人類に対する犯罪
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岸田政権は8月24日、内外の猛烈な反対を無視する形で福島第1原発の放射能汚染水を海洋放出した。日本のマスコミは、8月18日の米日韓の首脳会談の後に24日の放出を決定したのは米韓の承認を得たからだと伝えている。
朝鮮民主主義人民共和国の放出に対する反応を見る。
朝鮮中央通信が報じたところによると、朝鮮外務省は24日、この日始まった福島第1原発の汚染水海洋放出の「即時停止」を要求し、汚染水水の海洋放出は人類に対する許されない犯罪だと指摘、日本はその責任を負うことになると糾弾している。
さかのぼること7月9日、朝鮮国土環境保護省の対外事業局長が談話を発表し、福島第1原発の汚染水海洋放出計画をめぐり、「計画は国際的な安全基準に合致」し人や環境への影響は「無視できるほど」とする調査報告書を発表(7月4日)した国際原子力機関(IAEA)に対し、「放出計画を積極的に庇護、助長している」と非難している。
談話では、数多くの環境保護団体が反対と懸念を示しているにもかかわらず、なぜIAEAが誰も権限を付与していない日本の核汚染水放流に対してそれほど熱心になっているのか疑惑が濃くなる」と疑義を呈した。そして、「主権国家の合法的な権利行使に言い掛かりをつけていたIAEAの事務局長が、人類の生命安全と生態環境を危険に陥れようとする日本の不法非道な反人倫的行為を庇護することこそ、極端な二重基準」だと糾弾した。
中国の人民網日本語版は、外交部の汪文斌報道官が「日本政府は放射性物質汚染のリスクを公然と全世界に転嫁し、全人類の長期的幸福より自らの私利私欲を優先させた。これは極めて無責任な行為だ。中国はすでに日本に厳正な申し入れを行った」と記者会見で語った発言を報じた。放出後、中国の税関当局は同日から日本を原産地とする水産物を全面禁輸すると発表している。
その他、韓国では市民による反対デモが行われ、マーシャル諸島など太平洋の島しょ国からも批判の声が上がっている。
今回の放出で、タンク30個分(3万1200トン)を1年間に排出するとしているが、タンクは1048個もあり、1日に大量の汚染水が発生している(2022年は1日94トン)。日本は何年にもわたって放出し続けるということだ。
そもそも51年に廃炉を完了すると計画しているが、専門家も不可能であると断言。原発内のデブリの取り出しは遅々として進んでいない。
今回の放出、福島の漁業関係者との約束を反故にし、話し合いも説明も不十分ななかで進められた。
2015年8月、東京電力が福島県漁連の要望に回答した文書に次のような一節がある。
「漁業者をはじめ、関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします」
放出はこの約束を完全に破ったことになる。
日本政府は汚染水を「処理水」とごまかす。そして「処理水は安全」と繰り返す。まったく安全でないことは多くの専門家が指摘しており、SNS上では「安全というなら飲み水にしたり田畑に撒いたり他に利用すればどうか」などとつっこまれていた。(k)