歴史とは何か考える契機に
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今年で関東大震災100年を迎える。関東大震災では数多くの朝鮮人、中国人が虐殺された。この期間、関東大震災朝鮮人虐殺100年の特集のために色々な資料を読み込み、また、9月1日から3日にかけて東京都内や神奈川での関連行事を取材した。
この特集を準備する期間に思ったことがある。それは歴史は一生残っていくものであるということ。歴史は消えないということ。
日本政府は100年が経った今でも関東大震災朝鮮人虐殺に関して謝罪がなく, 真相究明も行っていない。当時の軍や警察が煽り、また自らも直接手を下した朝鮮人虐殺はまさにジェノサイドであり、日本政府は直ちに関東大震災朝鮮人虐殺に対して謝罪をするべきだ。また、過去の歴史問題に目を向け、歴史の真実を認めるべきだと私は思う。
日本とよく比較されるのがドイツである。ヒトラーが行ったユダヤ人絶滅政策で600万人の命が失われたと言われている。戦後、ドイツはこのユダヤ人虐殺と第2次世界大戦を起こした国としての責任を取り、歴史の教訓を得るために謝罪を行なった。世界的に有名なのが1970年12月7日に当時の西ドイツ首相であったヴィリー・ブラントがポーランド・ワルシャワ市内のユダヤ人慰霊碑の前でひざまずき、謝罪したことだ。
日本国内では歴史否定の動きがますます促進され、歴史修正主義が蔓延っている。また右傾化が進み、在日朝鮮人に対するヘイトスピーチ、ヘイトクライムが止まない状況である。
私はこの特集を準備する過程で歴史とは何かを再考することができた。かの有名な歴史家であるE・H・カーは名著「歴史とは何か」でこう書いた。「歴史とは、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります」。
在日朝鮮人3世として歴史を継承し続けることが責務であり、よりよい未来に向けて歴史を学んでいくことが自分の責任だと実感した。
また、関東大震災朝鮮人虐殺100年の特集を準備しながら、現在と過去の歴史のつながりがどれほど大事かを考えさせられた。
関東大震災朝鮮人虐殺100年の節目に、在日朝鮮人の権利を勝ち取るまで、自分のできることはすべて行おうと決心した。(国)