心に元気がないときは
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10月に入り、朝晩は特段、ひんやりとした風を感じるようになった。
新型コロナと同時に、インフルエンザも相当流行しているようだ。
ここ数年、特に最近常に意識しているのは、身体が風邪を引くのと同じで、心も風邪を引くということ。
仕事もそうでない場面でも、忙しい日々に身を投じ、「充実した生活を送れている」と思っていても、適度に自分を大切にできなかったら、体調を崩すように、心も弱る。
大変な事情が重なって、急に心が傷んでしまうことだってある。
それを「メンタルが弱い」「もっと心を強く持て」だなんていうのはもってのほか。
心の風邪は当たり前の反応だ。
そんな弱った心あるいは弱りかけの心をケアするための、あるいは、心の風邪を予防するための簡単な対処法「コーピング」。
コーピングには、ストレッサー(ストレスのもと)そのものに働きかけて、それ自体を変化させて解決を図ろうとする「問題焦点コーピング」と、ストレッサーに対する考え方や感じ方を変えようとする「情動焦点コーピング」があるが、今回紹介するのは「情動焦点コーピング」だ。
本誌昨年6月号の特集「弱った心の見つめ方」中、臨床心理士・公認心理師の姜瑛希さんによる寄稿から抜粋再掲する。
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コーピングとは、ストレスに対する意図的な対処、自分助けのことです。
ストレスに気づいたとき、ストレッサーをなくしたり、軽くするための行動も大事ですが、ストレス反応を和らげるための工夫も必要です。
コーピングには、ストレス反応を和らげるために、考えやイメージに手を加えるようなものもあれば、身体を動かしたり、言葉を発したりといった行動もあります。
大切なのは、ストレスを貯めこまないこと。日々の小さなストレス反応にも上手に気づき、こまめに対処していくことが心の健康への近道です。
- 問題から離れる
問題について考えなくてもいい時間・空間を作りましょう
- 周囲の人たちを思い浮かべてみる
そんなに仲良くなかったとしても、自分の周囲の人たちをたくさん書き出してみると、孤独感が和らぎます。
- 問題を整理する
ストレッサーとなっている状況を整理し、自分の感じたことや自分がとった行動、身体に生じた反応も書き出してみる。感情が落ち着きやすくなり、ときには解決法が浮かんでくることも
- だらだら過ごす
休日を「意図的に」だらだら過ごしてみよう
- ものづくりに勤む
塗り絵や手芸などの創作活動は、工夫次第でとてもコスパのいいコーピングになるという
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記事では、小さなもの、くだらないものでも、コーピングをたくさん見つけるのが大事だと記されている。
いつもよりていねいにコーヒーを淹れること、お気に入りのバスソルトを入れてゆっくり湯船に入ること、寝る前に一杯あたたかいお茶を飲むこと…
こんなことで楽になるの? と思うだろうか。騙されたと思って試してみてほしい。
これらはすべて、自分で自分を大切にできる、最も手ごろなツールなのだから。そうすればおのずと、傷んだ心にも元気が戻ってくる。
私のいちばんの「コーピング」は、ネコと一緒に。
飼っていないが、道端のネコと遊んだり、ネコの動画、ネコの写真などを眺めて心の滋養分にしている。
(同じくネコ好きの、何十歳も先輩である他部署の部長とも、ネコ話で盛り上がっている)
心の風邪だって立派な風邪。
熱が出たら額を冷やしたり解熱剤を飲むのと同じで、心の風邪にも、的確な対処が必要だ。
「コーピング」はその一助になる。
もちろん、重い症状がある場合は病院にいこう。(鳳)