初の九州朝鮮初中高級学校へ
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10月20、21日にかけて九州朝鮮初中高級学校(福岡県北九州市八幡西区、趙星来校長)に行ってきました。
20代の頃から日本各地の朝鮮学校を取材してきましたが、九州の学校は初めてです。
JR折尾駅から歩いて7分ほど、坂道を登ると3階建ての立派な校舎が見えてきます。「全国で一番立派ではないか?!」と息をのむほどの建物で驚きました。
もともとは同じ敷地に北九州朝鮮初級学校と九州朝鮮中高級学校の2校が運営されていたのが、22年4月から一つの学校―九州朝鮮初中高級学校としてスタート。
2歳児から18歳までの子どもたちが学んでいます。
遠い子は1時半をかけて通い、隣県の山口からは、7人の高校生が通っているとのことです。
21日は10時から、同校では敬老の集いが行われ、幼稚園園児、初級部低学年児童の祖父母たちが参加。新型コロナウイルスの感染が広がるなか、開催できなかったので、4年ぶりの敬老の集いです。
幼稚園の入口には、ハラボジ、ハルモニたちを迎えるチョゴリ姿の園児、児童たち姿が。愛らしかったです。
敬老の集まりのタイトルは、「꾹~안아주세요(ギュッと抱きしめて)」。
園児児童たちの公演で幕を開けました。
初級部1年はマジックショー、2年生は「歌とお話」、3年生は竹馬遊びを披露。園児たちはリズム体操を披露し、最後は「私たちのハラボジ、私たちのハルモニたち」を元気に歌いあげ、「70歳、80歳、90歳、100歳まで長生きしてね~」と呼びかけていました。
盛りあがったのは、玉投げでした。幼児対祖父や祖母、児童vsハラボジ、児童vsハルモニ…。ハラボジハルモニの圧倒的な勝利に、子どもたちが悔しがる姿が印象的でした。
体育館で敬老の集まりが開催されるなか、
家庭科室では、佐賀県多久市で韓流和食「青松」を営む沈成達さん(73)と、朴正琴さん(69)さん夫婦が「鯉のあらい(刺身)」を参加者たちにふるまうため、調理に励まれていました。
「海の魚は中骨があるけれど、川の魚の骨はもっと右端にある。薄く切って骨にあたらないようにするんだ」と沈さん。鯉の血をきれいに抜いて、一枚一枚丁寧に切っておられました。
聞くと、沈さんはお孫さんが通う同校の敬老の集まりに参加したとき、お皿いっぱいになるような卓にしたいと思われたそうです。隣で手伝っていた娘の栄華さん(44)もうれしそう。「(鯉を指しながら)これで大学まで行かせてもらいました」。
ハラボジ、ハルモニたちと子どもたちには、オモニ会お手製のピビンパプがふるまわれました。鯉の味噌汁やワカメスープも!
私もいただきましたが、とても美味しかったです。
4年ぶりに開催された敬老の集い。ハラボジ、ハルモニたちは久しぶりの再会に話が尽きないようでした。
こういう集まりがなければ、同胞たちが学校に来ることもないなと感じ入った数時間。日本各地に朝鮮学校はありますが、取材のたびにその土地の歴史と、綿々とつむがれてきた子どもたちへの愛情を全身で感じます。
準備に関わった教職員、オモニ会、同胞の方々、お疲れさまでした!(瑛)