韓国大法院判決から5年、「『解決策』では解決にならない」
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2018 年10、11 月、韓国大法院は強制動員被害者が訴えた3件の訴訟で、被害者の請求を認め被告日本企業に賠償を命じる判決を下した。判決が出てから今年で5年を迎えたが、強制動員問題が「解決」に向かっているとは言いがたい。
被告企業はこの判決に背を向け、それを履行しなかった。このような中、韓国の尹錫悦政権は今年3月、第三者弁済という「解決策」を提起し、この問題の「政治決着」を図った。しかしこの「解決策」は大法院判決の強制執行を回避するための弥縫策でしかなかった。大法院判決を受けた原告15人のうち11 人は第三者弁済を受入れ、財団から賠償金相当額を受けとったが、生存原告を含めた4人は「被告企業が謝罪せず、償いのためのお金も出さないとなれば解決にならない」とこの「解決策」に反対の立場を示している。
これを受けて韓国政府は第三者弁済を拒否している原告に対し賠償金相当額の供託手続きをとった。しかし、供託手続きは全て不受理となり、これに対する異議申立ても全て棄却された。
大法院判決から5年を迎えたことと関連し、市民団体・強制動員問題解決と過去清算のための共同行動(https://181030.jimdofree.com/ com/)は10月27日、日本外務省に対して問題解決に向けての要請を行った。
共同行動の関係者らは、第三者弁済という「解決策」そのものに法的疑義が突きつけられていると指摘。「強制動員問題を解決していくには、『解決策』のその先へもう一歩踏み込む必要がある」とし、以下の3点を日本政府に要請した。
①戦時における朝鮮人強制動員の事実を明らかにし、日韓間で戦時動員の実態、実相について資料、記録、証言等を突き合わせ、戦時動員についての共通の歴史認識を形成すること。
②強制動員の被害者にあてて岸田首相が「反省と謝罪」を表明すること。
③被告企業の三菱重工、日本製鉄に対し自主的に被害者に謝罪、賠償を行うよう促すこと。
共同行動は外務省要請の後、衆議院第二議員会館で記者会見を開き、判決5周年にあたって「『解決策』では解決にならない!今こそ全ての被害者が納得する解決を!」と題した声明を発表した。(上川陽子外務大臣あての要請書と声明の全文は共同行動のウェブサイトに掲載 https://181030.jimdofree.com/%E5%A3%B0%E6%98%8E/)
(相)