日本の大学、どうなっていくのか
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新年を迎えたが、昨年12月13日に参院本会議で可決・成立した「改正国立大学法人法」(以下、大学法人法)について書いてみたい。
可決・成立したことで、大学法人法は今年10月1日から施行されることとなる。
しかしこの法律、大学関係者からすこぶる評判が悪い。
大学法人法の内容としてまず、大規模な国立大学法人に中期計画や予算などを決定する運営方針会議の設置を義務づけている。
運営方針会議は学長と3人以上の委員で構成され、中期計画や予算・決算を決定する権限を有することになる。そして委員は、特定国立大学法人の申し出に基づいて文部科学大臣が承認したうえで、学長が任命すると規定されている。
まず反対意見として、文部科学大臣の承認が必要ということが日本の憲法23条の保障する学問の自由や大学の自治の点から問題があるとする。国家権力が大学運営に大きな影響力を持ち、人事を通じて政府や経済界の意向による大学支配が可能となる。そこから大学がどのような研究をするのかという部分にも影響力を政府が持つことになると指摘する。
今回の大学法人法が成立するずっと以前から、国公立も私立もずいぶんと大学の自治がなくなり自由な雰囲気が消えたと言われている。
私が大学に通っていたころはまだ、学生運動はなやかなころの空気が残っていた。ヘルメットをかぶり角材を持って歩く学生もいた。大学のあちこちに政治的なメッセージが書かれた立て看板が立てられていたし、たくさんあった学生寮は学生自らが運営し自由な空気が満ち溢れていた。
最初の写真は、1970年代後半、京都の同志社大学の正門に立てられた同胞学生が制作した立て看板。当時は同志社以外にも京都大学など多くの大学で立て看板が立てられていた。
そのような大学の雰囲気は今はまったくないという。
学生は政治に無関心になり、国家権力に反抗することを悪いと考える学生が増えていると言われている。
私はこの何十年か、日本社会は政治や経済、文化などすべての分野で劣化が進んでいると考えているが、今回の大学法人法がこれからどのような影響を日本社会に与えるのか、注視していきたい。(k)