ニジェールの米軍撤退へ、進む脱米欧
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ニュースサイト「アフリカニュース」によると西アフリカに位置するニジェールでは、今週末までに米軍が首都・ニアメの空軍基地から撤退、8月には残りの軍隊が撤退する予定だ。米軍司令官が発表した。これはニジェールの軍事政権が今年3月、米軍との軍事協力を破棄したことによるもの。昨年7月に親欧米政権が失脚し、新たにトップについた政権は、旧宗主国であるフランス軍の撤退を要求。こちらは既に昨年末に完了している。
さらにニジェール、マリ、ブルキナファソの軍事政権は先週土曜、ニアメ(ニジェール)で行われた初の首脳会談で昨年発表された相互防衛協定「サヘル諸国同盟(AES)」の強化を目的とした連邦条約に署名した。これは西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)から脱退を宣言したのに続いて行われた。ニュースサイト「ロシア・トゥデイ」によると、ニジェールの指導者はAESの首脳会談を「国家主権を取り戻すというわれわれの頑固たる意志の集大成」と表現した。
キューバの指導者であったフィデル・カストロは去る年の演説で、「主権はあまり重要ではなく、『民主主義と人権』の方がより重要だという哲学が流行している。まるで独立と主権を無くして、民主主義と人権を得られるかのように」と主張したことがある。今に始まったことではない。「人道」の仮面を被った米欧による度重なる独立を阻む行為、主権を侵害する行為、西洋式「自由」の強要に対して、抑圧されてきた国々から強烈なNOが突き付けられてきた。
自主の旗を掲げる国々は脱ドル化も推進している。政治経済において一極支配の国際構造が今、多極化へと変わろうという転換期にわれわれは生きている。
月刊イオでは「世界を見る眼」と題し、毎月識者による国際情勢の深堀解説を掲載している。7月号では「なぜ今、西アフリカで反仏・反米感情が高まっているのか」と題し、林裕哲・朝鮮大学校准教授(国際関係史)が担当している。本日のブログで紹介した西アフリカでの脱米欧の流れを理解するためにも必読である。(哲)
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