五輪なんていらない
広告
7月26日、パリ五輪が開幕した。
世界的な大都市・パリで行われる3回目の五輪。華やかな開会式、連日繰り広げられる熱戦―「スポーツの平和の祭典」を言祝ぐ言説がメディアにあふれる。
いや、もう、やめよう。五輪なんていらない。
華やかなイベントの裏で進行しているジェントリフィケーション(都市の富裕化)による貧困層の排除、環境破壊、公金の無駄遣い―。ナショナリズムの熱狂を呼び起こすこのメガスポーツイベントは一方で、世界各地で進行中のジェノサイドなどの「都合の悪い事実」をスポーツの健やかなイメージによって洗い流す「スポーツ・ウォッシュ」にも利用されることになるだろう。
コロナ禍の中で21年の東京大会が強行された際には、日本国内でも五輪開催に疑問を呈する声が少なからず聞かれたが、日本ではその時ほど「反五輪」は盛り上がっていない。東京はだめでもパリはいいのだろうか。
米国の元五輪選手のジュールズ・ボイコフは、『オリンピック 反対する側の論理』(2021年、作品社)など一連の著作で、「祝賀資本主義」(セレブレーション・キャピタリズム)という概念を提示し、巨大スポーツイベントと資本との結びつきを暴いている。
膨大な費用、環境破壊、弱者を追い詰める都市開発、過度な商業化など「資本主義の化け物」と化して久しい現代五輪。いまスポーツは政治権力と巨大資本によって政治的、経済的に食い物にされている。スポーツを愛する人こそオリンピックには断固として反対しなくてはいけないのではないか。
欺瞞に満ちた「祭典」などいらない。
フランスでパリ五輪反対運動に取り組む団体が、五輪によって引き起こされる「災害」をまとめた地図を制作。日本語版は以下のサイトにある。
https://x.gd/E2Ahs
(相)