東京町田であんにょんフェスタ/900人でにぎわう
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“朝鮮学校でつながる”をテーマに
東京都町田市にある西東京朝鮮第2幼初中級学校(申俊植校長)で10月13日、「あんにょんフェスタ2024」が行われ、町田市議会議員をはじめとする日本市民、同胞たち約900人が訪れ、朝鮮文化に親しみ、出会いを楽しんでいた。
地元の「タウンニュース」の1面にも大きく紹介され、チラシも3度にかけて作成して近隣に配ったことが功を奏し、午前中に食券が完売。「こんなにたくさんの人が来るなんて」と教職員と保護者たちが目を丸くし喜びを口にしていた。
運動場での6年ぶりの開催となったフェスタのテーマは「朝鮮学校で繋がろう!」。
舞台では、同校園児・児童生徒たちの歌や踊りに続き、10数年前から同校と交流がある都立町田の丘学園合唱部や日本市民による和太鼓演奏、朝鮮大学校の声楽部や民族打楽器サークル「セマチ」の歌や演奏で盛りあがった。体育館では、ペスカドーラ町田によるフットサル教室やDeNAバスケットボールスクールの無料体験も行われた。
フェスタでは「朝鮮学校を感じて体験してもらおう」との思いから、朝鮮学校体験模擬授業と題した朝鮮語講座が開かれた。講師は1年生担任の李香愛さん。
30分の授業は、ピビムパプ(비빔밥)などの代表的な朝鮮料理や、箸とスプーンを意味するスジョ(수저)などの単語を学び、「ペゴパ~(배고파、お腹すいた)、チョムシムモッチャ(점심 먹자、お昼を食べよう)」と簡単な会話文に親しみ、最後は自分の名前を書くという流れで進められた。
午後の朝鮮語講座を受講した片桐亮子さん(56)は、「学校の近所に暮らしています。昔から黒いチマチョゴリ姿の女子生徒や丘の上の朝鮮学校を見あげては、『どんな学校だろう?』と想像してみたり、自分たちと朝鮮学校とは一線が引かれて何か違う気もしていました」という。「けれど、こちらからは学校に入れない。今回タウンニュースで学校が公開されることを知り、初めて来ることができました」と笑顔を見せてくれた。
結婚したパートナーが同校卒業生のコリアンだというめぐみさん(26)は、「話せたらいいな」という思いから朝鮮語講座に夫婦で参加した。「授業がわかりやすかった。トッポッキが美味しかったですね。売店の女性に『辛いですか?』と聞いたら、スープを少なくしてくれました」と感想を語る。隣で聞いていた夫の李さん(35)もうれしそうだった。
地元のパン屋、青果店が出品
運動場には、キムパやトッポッキ、スジ煮込み、炭火焼肉などの朝鮮料理や、フリーマーケット、ハンドメイド品や駄菓子屋などたくさんの売店が並んでいたが、この日の目玉は「つながりコーナー」だ。
学校の近所にあるパン屋、青果店、珈琲店、団子屋さんに商品を提供してもらい、オモニ会が販売する「地産地消」の取り組みに挑戦。フェスタ実行委員のメンバーがお店を訪ね、商品提供をお願いしたところ、快く応じてくれたという。
実行委員でオモニ会副会長の趙奈美さん(45)は、「みなさん、近所にハッキョがあることをご存知なので協力的でした。『知っている』で止まっていた地域の人たちと『つながる』ことができてよかった」と手ごたえを語る。「オモニ会は、町田市で行われる色んなイベントに足を運びます。ある演劇鑑賞のNPOは会員数は800人。会員の方々にフェスタを知らせてくれると言っていただき嬉しかった」とも。
オモニ会会長の蔡慶愛さん(52)は、「日本に根ざしたアイデンティティを育んでいくためには、私たちが朝鮮学校への理解を社会の中で広げなければ、子どもたちが息苦しくなってしまう。今年も町田市民の会や風の会、ウリの会などたくさんの支援団体が売店を出してくれました」と支援者への感謝を語っていた。
つながる”場”にしたい
フェスタ実行委員長の朴東浩さん(49、アボジ会会長)は、「ウリハッキョは、多様な背景を持つ人たちの受け皿、さまざまな人たちが出会い、つながる拠点になれる。この学校は約80年の歴史を持ちそのノウハウを積み重ねてきた」と胸を張る。
「ひっ迫する財政の中、図書室の本を充実させるため書籍の寄贈を広く募ったところ、子どもが読み終わった本を当日持参してくれた日本市民や、遠く大分から郵送してくれた同胞もいました。朝鮮学校の未来を思う気持ちが本を通してもつながりました」(朴さん)
晴天に恵まれ、約900人でにぎわったフェスタは、地域のイベントとして、これからも愛され、「人びとの輪」を広げていくだろう。関係者の皆さま、おつかれさまでした!(瑛)