新校舎が竣工! 川崎朝鮮初級学校
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川崎朝鮮初級学校(姜珠淑校長)の新校舎竣工式が10月20日、川崎市川崎区の同校で行われ、約600人の同胞と日本市民がお祝いにかけつけた。
78年前の1946年11月1日、大島小学校の教室に川崎朝連初等学校を開校し、今日まで2478人の卒業生を送り出してきた川崎初級。1970年に建てた4階鉄筋コンクリート造の校舎の老朽化や財政難が課題として浮上するなか、40代の教育会理事を中心に一念発起し、2022年5月に新校舎建設委員会(石昌鎮委員長)を発足。「たくさんの輪を未来の子どもたちへ!」の目標を掲げ、新しい学び舎を作りあげた。建設費用はグラウンドの一部を売却した代金と募金でまかなった。
校舎は鉄骨2階建て。1階には3つの幼児室と遊戯室、職員室と多目的教室(2つ)があり、2階には6つの教室が設けられた。
「開かれたマダン」を目指した校舎は、大きな窓ガラスが設置され、開放的な空間となっている。
運動場が狭くなったことを考慮し、校舎には運動場とつながる雛壇状の3段のテラスが設けられた。例えば2階のバルコニーは、子どもたちの遊び場として使える青空教室にもなり、各階のテラスは室内の教室に吹抜けや共有部を介してつながっている。
幼児室は、陽あたりのいい1階に設けられた。
3つの幼児室は、壁をはずして広いスペースとして利用できる。幼稚班主任の孫美香さん(46)は、「以前の校舎は幼稚班の教室の近くにトイレがなく、職員が離れた場所にあるトイレまでついていかないと心配で…。講師を含め幼稚班の教員が3人しかいなので、子どもたちに目が行き届くようになり、安心しました」と語る。
式典で報告を行った石昌鎮建設委員長(51)は、「校舎が完成された8月29日、喜ぶ子どもたちの姿を見て、それまでの苦労が吹き飛ぶようでした。子どもたちが思いきり学んで遊べるような学校を建てたかった。また、ウリハッキョを開かれた学校にしよう、学校を支援してくれる同胞たちをたくさん集めようと呼びかけてきました」と振り返り、地域の同胞や日本市民の力で4500万円の募金(目標は5000万円)が集まったと高らかに報告した。
建設委員で同校教育会理事の張大仁さん(50)は、「今日が第一歩。寄付に頼らない自主運営を目指し、まだまだ知恵を絞らなければならない。学校運営を担う理事を育てることも大切です。川崎をもう一度盛りあげていきたい」と語る。
竣工式には、川崎市ふれあい館、同校を給食で支援する市民団体「トングラミ」など、日本の市民たちも多数訪れた。「川崎駅前読書会」で毎週ヘイトスピーチと闘う木村夏樹さん(56)は、「まだまだこれからです。日本の市民社会が川崎のコリアンコミュニティに親近感を持ち、次の世代が幸せに暮らしていける未来を目指していきたい」と語る。
「同校を支援する会を立ちあげることが目標。支援の力がまだまだ足りない」と語る日本市民もいた。
姜珠淑校長は、「今日が新たな始まりです。課題は児童・園児を一人でも多く受け入れること。さまざまな背景を持つ子どもたちが学べるような学校にしていきたい。教職員、子どもたちとともに作りあげたい」と決意を語っていた。(瑛)