友好の歴史、これからも/第30回日本・コリア友好美術展・京都
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第30回日本・コリア友好美術展2024・京都(主催=同実行委員会)が2024年12月10日~15日にかけて、京都市美術館別館で行われ、会期中は400人が会場を訪れた。
「日本・コリア友好美術展・京都」は、朝鮮学校教員、在日本朝鮮文学芸術家同盟京都支部の委員長も務めた在日朝鮮人美術家の河相喆さん(故人、1937―2022)が同胞と日本人の美術家たちとともに、1992年から始めた。
親善友好の精神に基づいた無審査、無償の公募展で、誰でも出品できるのが特徴。今回も京都のみならず、兵庫や岡山などから45人の作家が絵画、書、写真など126の作品を出品した。朝鮮の風景画、朝鮮語を書いた刺繍作品、般若心経が書かれた作品、人物画など個性豊かな作品群が並んだ。会場には、出品者から話を聞いたり、作品に魅入られたようにじっと見つめたり、作品を前に対話する人びとが見られた。
笠井弘子さん(59)は、労働組合の仲間で、美術展の事務局を務める姜湖宙さん(28)に誘われて参加した。笠井さんは「書の作品にすごく圧倒され、ハングルの文字の美しさを感じた。尹東柱の詩を日本の方が書くなど書を通した交流はすばらしい」と感嘆していた。
作品の搬入時には出品者が一堂に会して、交流会も催された。
「搬入時には、ウリマル(朝鮮語)と日本語が同時に飛び交っていた。そんな場所があるんだと最初は驚いた」と参加当初を振り返る姜さんは今回、アクリル画5点を出品した。「ウリハッキョの支援者や政治思想的なつながりではなく、芸術を通してつながった人たちの方が多い。逆にそのような人たちとともに友好の精神を基に作品を並べられるのがすごくいい」と魅力を語ってくれた。
実行委の日本側代表を務める増田正昭さん(72)は、京都で行われている無審査・自由出品制の公募展である「新美公募展」(2024年で55回目)で役員をしていた河さんに誘われ、20数年前から参加している。増田さんは、「一番の『隣国』である朝鮮に対して批判が強かった時期でも美術展を続けてこられた」と振り返る。そのうえで、「美術展が在日コリアンに対する理解を深めるきっかけになれば」と話した。
姜さんは、「朝・日の美術展は全国的にも少ないと聞いている。さらにいろんな人に出品してもらい、引き続き開催していきたい」と目標を語った。(哲)