49歳から50歳へ
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40代最後の大晦日は、感慨に浸る間もなく、5歳児と0歳児の世話で怒涛のように過ぎていった。
そして、新しい年が始まった。あと半年くらいすれば、50歳の誕生日を迎える。
自分が50歳になる。昔はそんな日が来るとは想像もつかなかった。しかし、この地球上で生きている限り時の流れは万人に平等だ。否が応でも年をとる。
仕事では責任ある立場につき、家庭では子育てが一段落している。仕事においてもプライベートにおいても経験値が高く、老成して円熟味があふれている。若い頃に想像していた50代とはそういう存在だった。
しかし、実際に50歳を目前に控えてみると、「仕事では責任ある立場につき」以外の部分は、想像とは違う人生を歩んできたように思える。
最近、無理をすると病気をしたり体を壊すことが以前に比べて多くなってきた。これからはなるべく仕事は楽な方向に持っていきたい。健康第一、体を壊したら元も子もないというのはもちろんだが、50代の中年が「ザ・体力勝負」みたいな仕事をするより他のところで力を発揮したほうがいいに決まっている。
苦手なことも苦手なままでいいと思っている。向上心を失ってはいけないが、この年になって苦手なものを克服したりできるようになる、ということはないだろう。それよりも、周りに優秀な人たちが揃っているので、自分の苦手なことは得意な人に任せればいい。
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で著者の三宅香帆さんが提唱する「半身で働く」「ノイズを日常に取り入れる」のような生き方ができればいいと思っている。
読みたい本、見たい映画、着たい服、訪れたい場所…。アーティストのライブにもここ10年ほど行っていない。「50代はかくあるべし」に縛られるよりも、自分が本当に好きなことをする。自分の欲望に忠実に生きたほうがきっと楽しい。一度きりの人生なのだから。
まだ50代? いや、もう50代だ。時間は、まだあるようで、ない。言うは易く行うは難しだが、口に出して言うことで、あるいは書くことで少しでも実現に近づくのではないか。(相)