没80年、尹東柱を想う
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2023年から日本の劇団「青年劇場」が各地で上演した「星をかすめる風」。星を眺める詩人・尹東柱(左、矢野貴大)と看守・渡辺優一(右、岡山豊明、提供=青年劇場)
새로운 길
내를 건너서 숲으로
고개를 넘어서 마을로
어제도 가고 오늘도 갈
나의 길 새로운 길
민들레가 피고 까치가 날고
아가씨가 지나고 바람이 일고
나의 길은 언제나 새로운 길
오늘도…… 내일도……
내를 건너서 숲으로
고개를 넘어서 마을로
(1938年)
新しい道
川をわたって森へ
峠をこえて村へ
昨日も今日も行く
ぼくの道 新しい道
たんぽぽが咲き かささぎが翔び
少女が通り 風が立ち
ぼくの道は いつも新しい道
今日も…… 明日も……
川をわたって森へ
峠をこえて村へ(訳:康明淑)
この詩は、2008年12 月に本誌の連載「ウリマルでよんでみよう」で紹介した尹東柱(1917~45年)の詩「新しい道」だ。この連載を担当していた頃、朝鮮半島で生まれた詩に触れながらも、とくに尹の詩に心を癒され、若くして亡くなったその生涯に胸が詰まった。清冽で、短い言葉に悲しみと絞り出すような希望が込められた温かい詩。
3日後の2月16日は、詩人・尹東柱が27歳の若さで亡くなり80年を迎える命日だ。
…尹は旧満州開拓民の長男として中国・北間島に生まれ、36年頃より童詩を雑誌に発表。38年にソウルの延禧専門学校(現在の延世大学)に入学。23歳の時に序詩を作り、死ぬ日まで天を仰ぎ、「一点の恥辱(はじ)なきことを」と詠った。
42年4月には日本の立教大学英文科選科に留学し、7月に同志社大学英文科選科に転学。43年に従兄弟の宋夢圭とともに、帰国直前に朝鮮語で詩や日記を書いていたことが独立運動につながるとして、京都下鴨警察署に「治安維持法違反」容疑で逮捕され、2年の刑を宣告された。45年2月16日、服役中の福岡刑務所で孤独のうちに疑惑の獄死。27歳の若さだった。1948年に、初の詩集『空と風と星と詩』(正音社)が刊行される。
(以上の経歴は詩人の康明淑さんによる)
生きていたら、尹はどんな詩作を続けたのだろう…。80年経っても、その輝きが失われることがない尹東柱の詩。没後80年を迎えるこの2月、尹東柱が通った立教大学や同志社大学では尹を偲ぶ集まりが開催される。
▼同志社大学尹東柱没後80年、詩碑建立30周年 尹東柱追悼式(2月16日、13時30分~)
https://do-cks.net/yundongju2025/
▼立教大学公開講演会「詩人尹東柱とともに・2025」(2月23日、14時~)
https://www.rikkyo.ac.jp/events/2025/02/mknpps000002v0yq.html
同志社大学は16日の追悼式で詩人・尹東柱(1917〜1945)に同志社大学名誉文化博士の学位を贈呈する。
先日はキングインターナショナルのMさんから尹東柱の詩集をおさめたCDをいただいた。
https://www.kinginternational.co.jp/genre/hana-2-3
朝鮮語で詩を書いたことを「罪」とした日本の植民地支配。来る8月15日には、朝鮮が植民地から解放されて80年を迎える。
罪をきせられ、ついには命を奪われた尹。前述した立教大学と同志社大学の式には、それぞれの学長が参加、立教大学では西原廉太総長が「尹東柱80周忌に想う」と題した講演を行う。
彼を想う日本の人々が多くいる。これからも、尹の詩を伝えていきたい。(瑛)