きがんさんの一人芝居「流民哀歌」を観てきた
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写真提供=劇団石(トル)
6日、東京都荒川区のムーブ町屋で行われたきむきがんさん〈劇団石(トル)〉の一人芝居「流民哀歌〜四月よ、遠い日よ〜」(作・演出:きむきがん、主催:流民哀歌東京公演後援会)を観に行った。
東京公演は5日と6日の2日間で、6日は満席の大盛況だった。
まず、かごを持って登場したきがんさん。前列の観客におにぎりやゆで卵、お菓子を配りだす。いつもの作品のように大きな笑いが会場を包む。私もゆで卵をもらうことができた。
きがんさんの芝居を観るのは「在日バイタルチェック」「キャラメル」についで3作目。
今回の「流民哀歌」は済州4.3鎮魂劇とうたわれているように1948年4月に起こった済州島4.3事件を描いている。

ロビーに飾られた芝居のポスター

公演前の舞台
1945年8月15日の朝鮮解放(日本の敗戦)以後、アメリカなどの外勢により朝鮮半島は南と北に分断される。南だけでの単独選挙、分断固定化に反対した島民たちの戦いを李承晩政権は西北青年団を送り込むなど徹底して鎮圧し何万人もの人々を虐殺した。
朝鮮解放後の政治情勢の矛盾がもっとも集中的に、爆発的に現れたのが済州島4.3事件だ。
芝居では当時の済州島で何があったのか、島から逃げのび日本に渡ってきた同胞たちがどのように生活してきたのかが描かれる。

写真提供=劇団石(トル)
素晴らしかったのが舞台構成だ。
島民や在日同胞の人形が数多く登場する。
密航船で海を渡る姿、日本で差別の中生活する姿、そして虐殺される島民たちの姿。
パンフレットの中できがんさんは次のように書いている。
「外勢が国土を蹂躙し権力者がどんなに民衆を弾圧しても私たちの心と精神まで奪うことはできません。むしろそれが私たちに生きる力を与えています。ひとえに私たちはこの命の上に生きているのです。その歴史が私たちを作り、その私たちが未来を作り出します。生き残った私たちが4.3で倒れていった人たちの命の分まで生きるのです。」

写真提供=劇団石(トル)
舞台の終盤、虐殺され倒れた島民をきがんさんが立ちあがらせていく。そしてまた船に乗せる。新たな旅立ちが始まる。
この作品できがんさんが伝えたかったことは、上の文章にすべて語られているのではないだろうか。(k)
※今後の上演情報です。6月21日に愛媛県の松山市民会館で、6月29日に名古屋の東別院会館で上演される予定です。